常念山脈(長野) 燕岳(2763.0m) 2022年8月20日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 1:38 第一駐車場−−1:46 中房温泉−−3:59 合戦小屋−−4:16 合戦ノ頭−−5:00 燕山荘−−5:22 燕岳 6:00−−6:25 燕山荘−−6:48 合戦ノ頭 6:52−−6:59 合戦小屋−−8:14 中房温泉−−8:20 第一駐車場

場所長野県安曇野市/大町市
年月日2022年8月20日 日帰り
天候曇時々微かに雨 山頂は南西の風強し
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場有明荘付近の3箇所に登山者用駐車場あり
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント日本海の前線が南下して天気が下り坂の中、雨が降る前に往復することに。山頂はガスって何も見えないかと予想していたが周囲の山を含めてガスがかからず、燕岳で初めての大展望を楽しめた。天気予報の悪さにも関わらずたくさんの人が登ってきたが、路側駐車の状況からしてそれでも少なかったようだ


燕岳から見た日光白根周辺。前線接近中で湿った南風が吹き込んで条件は良くないと思ったのだが予想外の展望だった


中房温泉登山口 第一ベンチ(標高1670m)
合戦小屋荷揚げ用索道 第二ベンチ(1842m峰)
第三ベンチ(標高2000m付近) 富士見ベンチ(標高2210m付近)
合戦小屋 安曇野の夜景
合戦ノ頭(2488.2m三角点) 東の空が僅かに明るくなってきた
燕山荘の光 ライト不要な明るさに
日光白根が見えた 燕山荘テント場
燕岳に向かう。南西の冷たい風が強い イルカ岩
登りより下ってくる登山者の方が多い 燕岳山頂
燕岳から見た360度パノラマ展望(クリックで拡大)
燕岳から見た常念岳、大天井岳、槍穂
燕岳から見た後立山
燕岳から見た後立山
燕岳から見た日光白根
燕岳から見た奥秩父、八ヶ岳
燕岳から見た御坂山塊
燕岳から見た南アルプス
コゴメグサ(ミヤマコゴメグサかなぁ) ミヤマアキノキリンソウ
燕山荘遠景 コマクサの群落
コマクサ ミヤマコウゾリナ
トイヤクリンドウ ベニバナイチヤクソウにしか見えないがこの時期、高さであり得るか?
イワギキョウ 燕山荘
タカネヨモギ ヤマハハコ
トリカブト ハクサンフウロ
たぶんシラネニンジン ウメバチソウ
オトギリソウ お花畑の主役はトリカブト
ミヤマキンポウゲ ウサギギク
ゴゼンタチバナ エゾシオガマ
ミヤマホツツジ シラタマノキ
ナナカマドの実 猿の群れ
合戦ノ頭 オヤマリンドウ
合戦小屋
カニコウモリ モミジカラマツ
黄色は雪がある時期用の標識 富士見ベンチ
えらい数の人が登ってきた 第三ベンチ
ヨツバヒヨドリ オオカメノキ
第一ベンチ。すごい数の人が休んでいた 中房温泉登山口
ノコンギク
第一駐車場は満車だった


 今週末は天気が悪い予報。日本海にある前線が南下して土曜日中から日曜朝にかけて雨の予報。しかも山は雨の降りだしが早いとのことであるが、北と西から天気が崩れ始めるので常念山脈は雨の降り出しが遅く、土曜の朝までは天気が持ちそうな燕岳とした。ここは大人気のコースで夏山シーズンは駐車場も登山道も混雑するのでシーズン中は避けているが、長期休暇の次の週は比較的空いているとのDJF氏説に従ってみることにした。まあ、この天気予報なら入山者は通常より少ないだろうけど。

 地元の優位性で駐車場が埋まる前、午後9時前に登山口に最も近い第一駐車場に到着。既に駐車場の8割程度が埋まっているのには驚いたが、昨日は快晴だったのを考えると人手が多かったのも頷ける。駐車場から2kmくらい手前の路側駐車余地にもたくさんの車があったので、昨日はかなり賑わったようだ。ただし、昨日下山した人もいるわけで夕方には駐車場の空きが出るのは当然だ。金曜夜は快晴で満天の星空、気温が低めで車中泊も快適であった。しかし予報では明日朝は曇っているはずだ。雨の降りだしは午前9時〜正午くらいなので、山頂には日の出の時刻に到着して午前9時には下山とし、出発は午前1時過ぎとした。

 夜中1時に起床して空を見上げると星は全く見えず、予報通り曇っていることが分かった。この分では日焼け対策は不要なので麦わら帽子は置いていくことに。自宅で複数の天気予報を見たが早朝に雨の予報が出ているものはなかったので、今回は雨対策は防寒を兼ねたボロゴアのみとした。どのみち傘を持っても前線が近く強風が予想されるので、標高が高い場所では使えないだろう。

 まだ駐車場に上がってくる車がいる中で出発。先週の柏原新道ではこの時刻に出発する登山者が複数いたが本日は無しで私だけだ。急な車道を上がって中房温泉に到着すると登山指導所前で自動的にライトが点灯。真夜中で建物の明かりは消えているのでこれは助かる。トイレと建物の間が登山口であり登山道へ。合戦尾根は北アの三大急登に数えられるが、尾根の地形的には確かに急だが登山道はジグザグに付けらているので実際に歩くルートはさほど急ではない。鹿島槍の赤岩尾根の方がずっと急である。

 夜中の登山道は無人でありすれ違いが無いのでマイペースで登れる。最初から気温が低いのは大助かりで、歩きだしは少し寒いくらいであったが本格的に登りにかかると適温に。いや、それでも標高が低い場所では扇で扇いで強制風冷が必要であったが、それで汗を全くかかずに済んだ。第一ベンチ、第二ベンチ、第三ベンチ、富士見ベンチと適度な間隔で休憩箇所があるが、5時間は連続で歩き続ける私には無用の長物だ。時々樹林が開けた場所からは安曇野方面の市街地夜景が見られた。高度が上がると千曲や上田方面と見られる山向こうの光も見ることができた。大天荘と思われる山の上の光も見えた。

 無人で真っ暗な合戦小屋を通過。看板によると今年は通常営業しているとのこと。合戦ノ頭の三角点を通過してもまだ周囲は暗くライトが必要。この付近から森林限界を突破してハイマツの稜線歩きとなり、南寄りの風が時々強くなり寒さを感じるようになったため、長袖と手袋、毛糸の帽子を着用。今回は強風が予想されたため、風を通しやすい軍手ではなく風を通さない防寒テムレスを持ってきたが正解だった。

 徐々に周囲が明るくなるが燕山荘の窓の明かりがはっきりと見え、その右手にはテントの暗い光が。稜線に出るとモロに風が吹きつけると予想されたため、その手前で登山靴を脱いで長ズボンを履いて上にはウィンドブレーカを追加しネックウォーマーも。今日は風は強かったものの気温は高めでおそらく+10℃くらいあったので、防寒装備はこれでOkであった。

 燕山荘に到着した時にはライト不要な明るさになっていた。テント場は完全に満杯ではなかったがそれに近かった。頭上も東の空も雲に覆われていたが、日の出を期待して外に出てきている小屋泊の人達が東の空を見ていた。稜線に出て西側の展望が初めて開けて槍穂から裏銀座、立山劔にかけての稜線が見えるようになるが、おそらく雲に覆われて見えないと思っていたのが全く雲がかかっていなかった。ただし裏銀座方面の稜線は薄い靄がかかったように白っぽく見えており、雨が降っているのは確実だ。この雨がこちらに来ないか心配であるが、結果的にはごく小降りの雨粒が短時間だけ落ちてきたことはあったが、本降りの雨になることはなかった。それよりも北東方向で強い雨が降っているエリアがあり、おそらく戸隠付近であろう。

 意外だったのは四阿山と本白根山の間の稜線が低くなった部分に日光白根周辺の山並みが見えていたこと。直線距離で150kmはあるはずで、この気圧配置で見えるとは思わなかった。また、南アルプスも見えており、もしかしたらそれらの山々は日本海の前線から遠いのが理由で晴れのエリアに入っていて、燕岳から見えているのかも。

 雨が降る前に燕岳山頂を目指す。既に日の出の時刻は過ぎたが東の空も雲が多くて日の出を見ることはできなかった。風が強いこともあり山頂で日の出を見ようと早出していた人達が続々と下ってきて登りの人は少なかった。

 数人を追い越して燕岳山頂に到着。いつ雨が降り出すか山頂にガスがかかるか分からないので急いで写真を撮影。これまで燕岳に登った中で最も展望が良かったので、新たな展望写真にする予定。雨で見えなかった妙高山付近も後によく見えるようになった。八ヶ岳、南アルプスは良く見えており、その間の御坂山塊も見えていたのは珍しい。

 山頂には後から守谷市在住の親子が上がってきた。男の子は小学校高学年くらいと思われた。2年くらい前から山登りを始めたとのことで、燕岳にも一度登ったことがあるとのこと。私が栃木県の日光白根山が見えると教えると、そこにも登ったことがあるという。茨木県の山が見えないかなぁと言ったが、見えるとしたら平野部の筑波山くらいで、標高が高い県北の山は栃木県のさらに高い山にブロックされて見えないだろうと教えた。なお、帰宅後に筑波山から北アルプスが見えるかカシミールでシミュレーションした結果、なんと槍穂や燕岳を含む常念山脈が見えることが判明した! ただしその距離は200kmを越えるので湿度が高い夏場に見える確率は限りなくゼロに近く、空気が乾燥した冬場で冬型の気圧配置が適度に緩んで北アルプスの山に雪雲がかかっていないが多少は風があって下界の澱んだ空気を押し流すような条件でないと見えないはずであり、見える確率は低いであろう。私も視程200kmは未体験である。

 親子が下山してから軽く飯を食って私も下山開始。幸いにして雨はこちらに接近してこなかったが、周囲の山々には徐々に雲がかかり始めて天候悪化がはっきりしてきた。前線が南下する予報なので当然であろう。それでも下山まで雨に降られることはなく、車を運転中に安曇野市街地で雨に降られた。

 帰りは残り少ない花の撮影をしながら。山頂から燕山荘の稜線にかけてはミヤマアキノキリンソウ、コゴメグサ、ミヤマコウゾリナ、トウヤクリンドウ、イワギキョウ、しおれかけたコマクサなど。山頂近くのハイマツの影にはベニバナイチヤクソウとしか思えない花が咲いていたが、この花はもっと低い場所で5,6月頃に咲く花であり、この時期にこんな標高で咲いているとは思えない。でも花の形からしてイチヤクソウ類に間違いはない。もう少しネットで粘って探してみるか。

 燕山荘に到着して稜線東側に付いた登山道を下ると両側はお花畑に変わる。真夏ならたくさんの種類の花が見られそうだが今の時期にはトリカブトが主で、ハクサンフウロ、タカネヨモギ、ヤマハハコ、ウメバチソウ、シラネニンジン(たぶん)、オトギリソウ、ウサギギク等が見られた。矮小な樹林帯の斜面ではゴゼンタチバナ、エゾシオガマ、ミヤマホツツジ、シラタマノキ、オヤマリンドウなど。

 途中で猿の群れに遭遇。笹とハイマツ混じりの森林限界ぎりぎりの矮小な木々では餌なんて無さそうに見えるが、まさか涼みに来ている?

 合戦ノ頭まで下ると風も弱まり体が温まったので防寒装備を脱いで半袖短パン姿に変身。多く見られる下りの登山者に混じって下っていく。すれ違う登山者は合戦小屋以降はぐっと増えてすれ違いの待ち時間が馬鹿にならないくらい。登山者の数は爺ヶ岳の柏原新道や常念岳の一ノ沢コースより多かったように思うが、天気が良ければもっと登山者数は多かっただろう。  第一/第二/第三/富士見ベンチではたくさんの登山者が休憩中。考えてみれば合戦尾根の登山道は道幅が狭く邪魔にならずに休憩できる場所は非常に少ないが、一ノ沢はあちこちで道幅が広がったり河原や沢があるので休憩可能な場所はたくさんあり、休憩している登山者の姿は分散している。しかし第一ベンチなど中房温泉から標高差200m強しか登っておらず、いくら何でも休むのは早すぎるような気がするが。まあ、このコースはそれだけ初心者がいるということだろう。燕岳は北ア入門コースとして名高いからなぁ。

 中房温泉に到着する直前に駆け下る単独の青年に道を譲った。トレランにしてはその装備は登山者に近く、ザックは3,40リットルくらいだし足元は普通の登山靴であった。ここまで下ると登りの登山者数はぐっと少なくなっていた。

 中房温泉ではツアーの団体様が出発準備中。そう言えばここまですれ違った中で大人数の団体が数組いたなぁ。まだコロナは収まらないが、下界でも山でも徐々にコロナ禍前の状態に戻りつつあるようだ。でも下界でも山でもコロナは流行してるんだよなぁ。

 第一駐車場に到着するとさすがに満車。ギリギリまで車が詰まっているので駐車場から出るのに一苦労だった。今回は下山時は曇りで気温が上がらなかったので大汗をかくことは無く、下山してから濡れタオルで軽く体を拭くだけですっきりした。

 駐車場を出て県道を下ると、路側に駐車している車の数は昨夜通行した時とほとんど差が無かったように見えて、今日は公式駐車場でほとんどの車を収容できたようだ。そうならばやっぱり通常の週末より車は少ない。いつもの夏山シーズンの週末ならば県道路側の駐車可能な場所は全て車で埋め尽くされて、麓の有明山登山口付近の駐車場に駐車してバスやタクシーで中房温泉に上がるしかない。

 中房川沿いの山道から集落のある開けた傾斜地に入り安曇野市街地が近付くと雨が降り出した。しかしバックミラーには燕岳の稜線はすっきりと見えており、もしかしたら山の上はまだ降っていないのかもしれない。雨は安曇野周辺だけで長野市内は全く降っておらず暑かった。お昼に帰宅してパソコンで雨雲レーダーを見たら燕岳周辺を含む北アルプスの広範囲で雨が降っていた。

 

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